もうすぐ端午节(duānwǔ jié)、日本語で言えば端午の節句です。でも中国の端午节と日本の端午の節句って、実はかなり違います。こいのぼりも兜もなく、メインイベントは粽子(ちまき)を食べることと龍舟レース。そして背後にある物語が、なんとも壮絶です。
小红书では毎年この時期になると「端午节吃什么(端午節は何を食べる?)」「端午节粽子攻略(ちまき完全ガイド)」といった投稿が数百万件単位で流れます。日本ではほとんど知られていないこの祭日、実は中国人の生活に深く根ざした、かなり奥深い文化なんです。今回は端午节を丸ごと解説します。
端午节はいつ?なぜ祝日なの?
端午节は旧暦の5月5日。2026年は6月19日(木)で、前後合わせて3連休になります。中国では「法定節假日(公式祝日)」に指定されており、春節・国慶節に次いで認知度が高い祝日の一つです。
日本の「子どもの健康を祝う日」とは異なり、中国の端午节は詩人・屈原の命日を悼む追悼行事が起源とされています。この背景を知らずに「ちまきの日でしょ」で終わらせると、中国人の友人と話したとき少し物足りない印象を与えてしまうかもしれません。
屈原(くつげん)の話:川に身を投げた詩人
屈原(qū yuán)は紀元前340年頃、楚の国に生まれた政治家・詩人です。国王の側近として活躍しましたが、政争に巻き込まれて追放され、放浪の末に絶望して汨羅江(べきらこう)に投身自殺したとされています。
その死を悲しんだ人々が、魚に遺体を食べられないよう川に粽子(もち米を竹の葉で包んだもの)を投げ込んだ、龍舟を漕いで魚を追い払った──これが端午节の起源と言われています。2000年以上前の話ですが、今も毎年その行為を繰り返すという形で文化が生きています。
屈原は中国最古の長編叙情詩「離騒(りそう)」の作者としても有名で、中国の国語の教科書にも登場します。日本でいえば松尾芭蕉くらいの知名度と思ってもらえると近いかもしれません。
粽子(ちまき)は南北で全然違う
端午节の主役・粽子(zòngzi)は、日本のちまきとは別物です。もち米に具材を入れて竹の葉や笹の葉で包み、蒸すか煮るかして作ります。ここで大きな問題があって、中国は南北で粽子のスタイルが真っ二つに分かれています。
南派(广东・上海・福建など)は「咸粽(しおちまき)」派。豚バラ肉・卵黄・もち米・干しエビなどが入った、どっしりとした塩辛い粽子が主流です。食べごたえがあって、一個でかなりお腹が膨れます。
北派(北京・山東など)は「甜粽(あまちまき)」派。小豆あんや棗(なつめ)を入れた甘い粽子が主流で、日本のちまきのイメージに少し近いかもしれません。
この南北論争は毎年小红书・微博で巻き起こる恒例行事で、「絶対に甘いのが正解」「いや塩辛いのが本物」というコメント合戦が数千万件規模で起きます。日本でいう「お雑煮のだし・具材論争」の全国規模版です。
龍舟レース(龙舟赛)の熱量がすごい
端午节のもう一つの主役が龙舟(lóng zhōu)レースです。細長い龍の形をした舟に20人前後が乗り込み、太鼓のリズムに合わせて一斉に漕ぐ競技で、広東省・湖南省・湖北省などでは今も真剣勝負として行われています。
特に広東省では龍舟レースが地域文化として根付いており、村対抗の非公式レースが無数に開催されます。小红书で「龙舟 端午」と検索すると、ドローン撮影の壮大な映像や、泥だらけで漕ぎ続ける地元チームの動画が大量に出てきます。国際的にも普及しており、日本や欧米でも龍舟大会が開催されています。
端午节にまつわる風習あれこれ
- 艾草(ヨモギ)を玄関に飾る:邪気を払うとされ、今も農村部を中心に広く行われています。独特の香りで虫除けにもなります。
- 五色の糸を手首に巻く:長寿・健康を願う風習で、子どもの手首に親が結んであげます。
- 香包(匂い袋)を身に着ける:薬草や香料を詰めた小袋で、小红书ではDIY香包の投稿が毎年トレンドになります。
旅行中に端午节に当たったら
もし旅行や留学のタイミングで端午节に当たったら、ぜひコンビニやスーパーに立ち寄ってみてください。この時期は粽子が大量に並び、真空パック・ギフトボックス仕様のものが数十種類陳列されます。価格は1個2元〜数十元まで幅広い。スーパーで何種類か買って、ホテルで食べ比べするのが実は一番コスパの良い端午节体験です。南派の塩辛い豚バラ粽子を一度食べると、その旨さにハマる日本人も多いです。
まとめ
端午节は、2000年以上前の詩人の死を悼む気持ちが粽子と龍舟レースという形で現代まで生き続けている、中国文化の厚みを感じられる祭日です。毎年同じ時期に来るのに、粽子の南北論争で毎回盛り上がれる中国SNS民のエネルギーも含めて、なんか好きなんですよねこの祭日。6月に中国を旅行する予定のある方は、ぜひ端午节の雰囲気も楽しんでみてください。